委託者が受託者に対して、競業避止義務を課すことがあります。
委託者の競合他社との取引を禁止するという強いものから、
委託者以外の企業のために、本製品またはその類似品を
製造販売してはならない、とする比較的リーズナブルなものまで
色々な制限を課します。
この場合、念のために下記2つの法律に当該制限が抵触しないか
確認が必要です。
◆独占禁止法
委託者が受託者に対して、一定の地域を割り当て地域外の顧客から
の求めに応じた販売を制限することにより、商品の価格が維持される
恐れがあれば、拘束条件付き取引として違法の可能性があります。
また、委託者が市場における有力メーカー(シェア20%以上 )であると、
これにより新規参入者や既存の競争者にとって代替え的な流通経路を容易に
確保することができなくなる場合に公正競争阻害性を有し、
違法となるとされています。
◆労働基準法
「個人と業務委託契約を締結する際に注意するポイントとは?」でもご説明
したとおり、受託者が個人の場合において、「他社の業務について受注する
ことが自由か?」が偽装請負と見做されないためのポイントの一つとなります。
よって、個人とのOEM契約を締結する際には十分な注意を払い、偽装請負と
ならないように、不適切に競業避止義務を受託者に課さないよう、注意が必要
です。
更には、受託者自身が本製品の改良製品を製造し、
委託者の競合他社への販売をすることもありますので
これを防ぐ必要があります。
一方、受託者としては上記の競業避止義務を課せられた場合
委託者に対して、「最低発注数量義務」を要求して来る可能性が
あります。
この場合においては義務を「努力目標」に変えるように交渉したり、
受託者の交渉力が強く、拒否できない場合は、
「最低発注数量義務違反によるペナルティ」について交渉する事が
考えられます。
◆最低発注数量義務違反のペナルティを定めた例
1.委託者が最低発注数量義務に違反したときは、
受託者は委託者に対して委託者の当該事業年度における
本製品の発注数量と最低発注数量の差に相当する代金相当額
の支払を請求することができる。
2.委託者が2年連続で最低発注数量義務違反を犯したときは
受託者は本契約または個別契約を解除することができる。