システム開発委託契約:システムの権利の帰属(1)

開発されたプログラム/システムの権利者は誰か?
というポイントは多くのトラブルの元になっています。

 

ここで問題になる権利で最も重要なのは、「著作権」です。

 

委託者の多くは、「お金を支払ってプログラムの開発を委託した
のだから、その成果物の権利は当然自分たちのものである。」
と誤解していることが多いです。

ところが著作権法上は、受託会社の従業員が開発したプログラム
は、原始的には受託会社に帰属することになり、委託会社の対価
の支払の有無で左右できるものではありません。

従って、もし委託会社が成果物に関する著作権を全て自分のもの
にしたいのであれば、契約書上は受託会社から譲渡されたという
ことが明確に規定されている必要があります。

単に使用・複製したいときだけでもやはり、受託会社から使用許諾を
受けるということを契約書上に規定する必要があるので注意しましょう。

 

※更に細かい注意点があります!

 

それは「二次的著作物」の存在です。

 

★二次的著作物とは?

  著作物を、翻訳、編曲、変形、脚色、映画化その他翻案した
  ことにより創作された著作物のことを言います。

プログラムではありませんが、わかりやすい例では、
日本語の小説が、「著作物」であるとするとそれを英語に翻訳した
ものは、「二次的著作物」となります。


そして、二次的著作物と著作物の創作者が異なる場合、
二次的著作物を利用したい者は、二次的著作物の著作者と
著作物の著作者の両方の許諾を受けなければなりません。

著作権法では、以下のように定めています。

第27条
  著作物を翻訳、編曲、変形し、又は、脚色、映画化、その他
  翻案する権利(=二次的著作物を創作する権利)

第28条
  二次的著作物を利用したい者は、二次的著作物の著作者と
  著作物の著作者の両方の許諾を受けなければならない旨を
  規定


前置きが長くなりました。

上記を踏まえて、業務委託契約書上でどのような問題が起こるか
についてご説明します。


著作権法では、以下のような規定があります。

第61条第2項
 著作権を譲渡する契約において、二次的著作物に関する権利
 (=二次的著作物を創作する権利+二次的著作物を利用する権利
 が譲渡の目的として特に明記されていないときは、譲渡の対象で
 ないと推定する。


つまりですね・・・

たとえ契約書上に、

***************************************************
×受託者は委託者に対し、本プログラムに関する全ての著作権を譲渡する。
***************************************************


と書いても、上記の第27条および第28条の二次的著作物に係る権利は
譲渡されない!ということなのです。


よってもし委託者が二次的著作物の権利も欲しいのであれば・・・・  

***************************************************
○受託者は委託者に対し、本プログラムに関する全ての
 著作権(著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む
 を譲渡する。
***************************************************

と契約書に記載しなければならないということになります。

委託者の立場からすれば、二次的著作物に係る権利は、通常であれば
欲しい権利であるケースが多いと思われますので、その場合は忘れずに
上記のように記述するようにすることが重要なポイントとなります。

 

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