OEM契約において、最終消費者等からのクレームは最初に
委託者に来るので、ブランドの信用力問題になります。
そこで、委託者としてはたとえ受入検査に製品が合格したと
してもある一定期間は保証期間/契約不適合責任の期間を設けるように
したいものです(契約不適合責任は、2020年4月施行の改正民法で、従来の「瑕疵担保責任」に代わって定められた制度です)。
どこまで細かく書くかはその製品・当事者間の取引内容によります
が検討ポイントとしては大体下記のとおりです。
◆期間はどのくらいか?
民法では買主(注文者)が不適合を知った時から1年以内の通知、商法では商人間の売買で受領後の検査・通知(直ちに発見できない不適合は6ケ月以内)と一応定められておりますが、これに
踊らされてはなりません。ハッキリ言って全く無視!した方が良いです。
取扱う製品によって全然違ってきますので必ず技術者、品質管理担当者、
製造担当者の人達と打ち合わせして最適な保証期間を規定 しましょう。
それでは、最適な保証期間を設定できれば、その期間を過ぎたら
受託者は完全に免責されるのか?
と思いきやそうではないこともあります。
例えば、市場に流通させた全製品のリコールをしなければならないような
「重大な不具合」や「傾向的な不具合」については保証期間の経過後も
依然として売主が責任を持つように定める場合もあります。
車のエンジン、ブレーキの部品などは良い例では?
つまり契約不適合責任/品質保証についてはほとんど技術的な要因でどうとでも
変わって来るということです。
従って、何を不適合(不具合)とするかの要件についてOEM契約書に書ききれないほど細かい
技術的な取り決めが必要なケースも製品によっては起こり得ます。
そのような場合は、OEM契約の他に、「品質保証契約書」を委託者と受託者
との間で締結して詳細に規定して行きます。
このレベルまで来ると、「契約書」というより「技術仕様書」と言った感じですね。
◆補償内容は?
契約不適合があったときの受託者による補償内容は、「代替品の納入」、「修理」(いずれも民法でいう履行の追完)、
「代金減額=特別採用」などがあります。ここも製品によって何が一番良いのか
が決まって来ますので、技術担当者との打ち合わせが不可欠です。
また、前述のリコールのようなケースではもはや代替品の納入などの単純な
補償だけでは済まされない場合も多いでしょう。この場合は、委託者がリコールに
要した費用の負担も受託者の補償内容となってくるケースもあります。
逆に受託者としてはできるだけ契約不適合責任を軽減することを検討したいところです。
ポイントしては下記の2点が考えられます。
1.受託者に帰責事由がある場合に限って契約不適合責任を負う。
2.不適合が軽微なものであって過分の費用を要する場合には修補責任が
ない旨を定める。
上記1および2を採用できるか否かについては「受託した製品の性質に
よって大きく異なる。」ので個別具体的に検討することが必要です。
ちなみに2については、改正前の民法第634条第1項ただし書に同じ趣旨の規定がありましたが、2020年4月施行の改正で削除されました。
旧規定は「欠陥が重要でなく、その修補に過分の費用を要するときは、注文者は修補を請求できない」という内容でした。
現在は、修補などの履行の追完が、契約や取引上の社会通念に照らして不能といえる場合には請求できない(民法第412条の2第1項)
という一般的なルールで判断されます。過分の費用がかかる場合の扱いを明確にしたいときは、
上記2のように契約書で定めておくことが一層重要です。
◆委託者による受託者の立ち入り検査
最も良いのは、不具合が発生する前に未然に防ぐことです。
そのため、委託者が受託者の工場を立ち入り検査し、きちんと製品品質が守られて
いるか検査する権利を契約書に規定することがあります。
受託者にとってみれば、「面倒くさいな~」と思うかもしれませんが、
この事前の立ち入り検査の条件を契約書に規定しておくことにより、
良い緊張感を保ち、欠陥商品が発生するのを防ぐ効果があります。