OEM契約の場合は、エンドユーザに生じた製造物責任上の
クレームは委託者にまずきます。そこで委託者としては、
・受託者が紛争解決のために協力すること
・エンドユーザに対して支払った賠償金を負担すること
などを要求します。
一方、受託者としては、
・エンドユーザに生じた損害が委託者の製品製造に係る指示
に起因する場合は免責されること
を逆に要求します。
また、製造物責任に関してはPL保険や生産物賠償責任保険に加入
することが実務上とても大事です。委託者はもちろんのこと受託者も
加入することを検討した方が良いかもしれません。
なお、受託者としては製造物責任が生じた原因が委託者から提供された
仕様書や金型に起因する場合もあるので、全てのケースについて安易に
委託者から請求される事態は避けたいところです。
更には、製品の性質によっては「リコール」を行うケースもありますので
その場合はどのような対応をするのか規定しておくことも検討すべきです。
一般に、リコールは莫大な費用がかかりますので、一方の当事者のみが
負担するケースは少ないようです。
◆条文例:製造物責任
1.受託者は、本製品の欠陥による第三者の生命、身体または財産への
侵害によって生じた損害につき第三者から委託者または受託者に
対して請求がされる場合に備え、自己負担で生産物賠償責任保険に
加入するものとする。なお、当該保険の付保の範囲については
両当事者協議のうえ決定するものとする。
2.各当事者は、第三者から本製品に関してクレーム、請求等を受けた
場合、その旨を遅滞なく相手方に通知するものとする。この場合
両当事者は当該クレーム、請求等への対処方法につき、協議のうえ
決定するものとする。
3.各当事者は、前項に規定する第三者からのクレーム、請求等のうち
第1項に規定する保険で補填されなかった部分が自らの責に帰すべき
事由に基づく場合(本製品の仕様、金型に起因する場合には委託者の
責めにきすべき事由に基づく場合に含める)には、当該クレーム、請求等
への対応に関連して相手方に生じた一切の費用および損失を相手方に対して
補填するものとする。
4.両当事者は、本製品に関して品質上の問題が発見された場合、直ちに相手方に
通知するものとする。この場合、両当事者は本製品のリコール等の対策の
必要性について協議し、当該対策をとることを決定した場合、その実施方法
および費用負担について協議のうえ決定するものとする。